ただ今刊行中の記事———Avicii(アヴィーチ)の New ID シリーズ。
今回は、2011年頃のAviciiサウンドの実体を、
オーストラリア🇦🇺出身の女性の双子デュオで、シンガー・ソングライターであり、DJでもある「NERVO(ナーヴォ)」という「アーティスト」を切り口に、顕現させていきたいなと思う。
これより故アヴィーチの解剖を開始する
切り口 : NERVO(ナーヴォ)

彼女達を知ってるか知らないかは『EDM(エレクトロ・ダンス・ミュージック)』とどの時期に出逢ったかに大きく左右されると思っていて、
2015年頃までに『EDM』を聞いていた人は、知ってる人も多いかもしれない。だが、2016年以降に『EDM』を聞き出した方は「Nervo」を存じ上げない方も、多いのではないだろうか。
彼女達の主な活動は、ヨーロッパだったこともあり、日本人にとって身近なアーティストとは言えない。
この記事は、”Aviciiの解像度を上げること”が、目標なので、Nervoの代表曲は、”1曲“に絞っている。
NervoがEDM界で、大躍進をしていたのは、2011〜2013年頃で、2019年の元旦には姉妹共々妊娠していることを発表している。そして2020年からパンデミックとなるので、現在は、表舞台での活動も落ち着き、母としての時間を多く過ごしている。一度メインストリームから外れてしまうと、また流れに乗っかることは、大変困難である。もしかしたら今は、そのタイミングを伺っているところなのかもしれない。
Nicky Romero & NERVO – Like Home
彼女達の代表曲はいくつかあるのだが、一つに絞るのが、なかなか難しかった。というのも、彼女達は、ソロ曲よりも、他のアーティストと共にプロデュースした曲が多い。
NERVOのシングルで、今の所最も再生されているのは、2017年にリリースされたソフィー・タッカーとのコラボ曲の”Best Friend“。だがその曲は、クラブ向けというよりラジオ向けの音楽であり、ダンスミュージックの全盛期に、NERVOを知った自分からすると、より印象があるのは、Nicky Romero(ニッキーロメロ)とのコラボ曲———”Like Home“だった。
この曲”Like Home“に関しては、Nervoが、歌っていると思われる。正式な記載はなし。
Avicii (with NERVO) [全5曲]
- Let Me Show You Love (Original Mix)
- 同上 (Tom Swoon Edit)
- You’re Gonna Love Again (リリース✅)
- Nothing Without You (Original Mix)
- 同上 (Avicii Rolling Bootleg)
Avicii @Tomorrowland 2011
『Tomorrowland 2011』の Avicii DJライブセットの1曲目が”Coldplay – Every Teardrop Is A Waterfall (Avicii ‘Tour’ Mix)“。
因みに、ライブのイントロでは、Afrojack(アフロジャック)がAviciiへエールを送っている。
関連記事 : Avicii (jojoレコードの記事)
Coldplay – Every Teardrop Is A Waterfall (Avicii ‘Tour’ Mix)
2012〜2015年までのAviciiのDJライブセットでは姿を眩ませていたが、DJ引退を発表後、2016年春夏のライブセットでは、2011年頃のAviciiサウンドも復活し、Aviciiの来日ツアーのライブセットでも、このリミックスは流れた。
ColdplayとAviciiの相性は抜群だ。
そして『Tomorrowland 2011』の Avicii DJライブセットの2曲目(4:20〜)に選曲されているのが、”Let Me Show You Love“である。
2011年の音源なので、音質はあまり良くないが、AviciiのDJライブセットの質は凄く高い。
日本人の多くは、Aviciiのシングルを聞いたことはあっても、あまりライブセットを聴き込んでいる人は、少ないのではないか。
それは、Aviciiが日本で一度しか(幕張と大阪)、公演を披露したことがないことに起因しているかもしれないが、僕からしたら、非常に非常にもったいなぁと感じる。
Aviciiの”シングル“しか聴いてない人は、まるで神社仏閣の参拝において、”本殿“しか参拝しない人間と同じである。
観光地には行けど、自ら”Something New“を探しに行く感じがなく「自分はここが好き!」という感想持てぬ主体性なき哀れな現代人だ。
1. Let Me Show You Love (Don’t Give Up On Us)
伝説の一曲。
Avicii史上、最も完璧なシングル。
“Let Me Show You Love“、または”Don’t Give Up On Us“と呼ばれているID。どちらも歌詞中に出てくるフレーズから選ばれており、前者の方が馴染みあるタイトルかもしれない。
関連記事 : Avicii(アヴィーチ) のほぼ完成済みでは? New ID「17(セブンティーン)」!
「Avicii史上、最高のシングル」というのは、僕の個人的な感想に過ぎないが、メロディー、強弱、ボーカルの声と抑揚、起承転結、盛り上げ方、そのタイミング。また全体的な均衡。どこにフォーカスしても、文句の付け所がない。
まさに、絶品。
美術館のガラスケースの中で眠っている国宝の如く、”Let Me Show You Love“は、今後もリリースされることなく、この完璧な姿のままガラスケースの中で輝き続けることが相応しい楽曲なのかもしれない。
南無阿弥陀仏。
※【意味】: 南無(ナム)は「礼拝、おじぎ、あいさつ」を意味するナマス(namas)の連声による変化形で、「帰依する(尊敬する、おまかせする)」という意味。阿弥陀(アミダ)は「無量の命、果てのない光」を表しており、二つを合わせて「永遠の命」という意味。※
(Tom Swoon Edit)
また、このTom Swoon Editが凄い。
完璧なシングルに、完璧な「Edit(編曲)」。
ヘッドホンを持っている人は、絶対に、ヘッドホンで聞いた方がいい!
Tom Swoon自身は、なんか暴行罪とかで捕まったきり表舞台からは姿を消してしまったが、このEditは、ネットが存続する限りは、表舞台から退場しないだろう。
2. NERVO, Avicii – You’re Gonna Love Again
NERVO(ナーヴォ)のシングルとして、2012年にリリースされている。
表向きな表記としては「Avicii」と記載されていないので、コラボ曲だと知らない人が多いが、楽曲クレジットには「Tim Bergling」と記載されている。
このシングルがリリースされた頃には、もうAviciiは”Levels“でスーパースターになってしまっているため、多忙極まりない状況にある。
この”You’re Gonna Love Again“を聞いてみると、確かにAviciiのサウンドを感じる。しかし言われてみれば気が付く度合いで、前後の2曲の方が、よりAviciiのエネルギーが滲み出ている。
強いていうなら、間奏部分のメロディーがAviciiサウンド。
正式な記載はなし。この曲も、Nervoが歌っていると思われる。
3. Nothing Without You (ft. NERVO)
Avicii史上最強のメロディー?
この楽曲———”Nothing Without You“に、Adell(アデル)の”Rolling in the deep“のアカペラを追加したバージョンもかなりイケてる。
一つのシングルとして、完成度を考えるなら、確かに未完成なIDであるけれど、ものすごいポテンシャルを感じさせる秘めた楽曲(ID)である。
特にサビのメロディーが、最高だ。
ボーカルは不明。Nervoの歌声よりも”甘さ“を感じるので、違うシンガーかな。
Nothing Without You (ft. Adell)
確かに、このID”Nothing Without You“は、Adell(アデル)のアカペラと非常に合っている。
この”ID“の、メロディーを聴いていると、このアカペラが勝手に、頭の中で流れてくる。
NERVO (インタビュー)
“Let Me Show You Love”のリリース
実はこのAviciiとNERVOのコラボである”Let Me Show You Love“は、Timの死後に、一度公式なリリースを予定していた。
その時期は、2021年の夏頃。
つまり、ちょうどこの”ID“にとって、10周年のタイミングだ。
この対談動画においては、リリースされる前提で、NERVOも語っているが、公式な Aviciiのチャンネル側からは何もアナウンスが無いまま先にこの動画で噂が広まった。それにチームAvicii側が「勝手なことをするな」と憤慨したのかもしれないし、真相はまだ分からない。
だが結局、公式なリリースはないまま、2025年を迎えている。
それか、予定していた10周年のタイミングでは納得いく状態までは出来上がらなかったため、保留となった可能性も高い。
NERVOとTimの父の対談(Tomorrowland公式チャンネルより)
この対談動画を見て、個人的な感想で言えば、二人の相性はあまり良くないかもしれない。
Timの死後、Avicii関連は、実質、Timの父親に責任が移っている。
これがどういうことかと言うと、チームAviciiの動きというのは、「Timの父親の性格や考えに依ってしまう」部分が多分にあるということ。
Timの父親は、具体的な音楽の制作については指示しないと思うが、Aviciiのコラボしていた、アーティストと一緒にマーケティングを含めた「ビジネス」をする形となる。
Timの父親は、Timよりも、慎重な側面があるというか、Timよりもリスクを嫌う人間である。より無難なものから取り掛かるだろう。するとTimではなく、Timの父親にとっての、仕事を頼みやすい人へ仕事を頼む流れができる。
NERVOは明るい女性でオーストラリア育ちなため、陽気な気質を持っている。だが、スウェーデンなど北欧の人間は、冷めた性格みたいなところがあって、また世代の差もあり、Timの父親からしたら、NERVOとどう接したらいいか分からないというか、僕が対談を見た感じ、少し無理をしている印象を受けた。
もちろん、個人的な印象に過ぎないが、……
決してTimの父親にとってNERVOが苦手な人とまでは言わないが、人は、理解出来ない人間は信頼出来ない傾向があるので「信頼出来ない」ということは、「仕事を頼みにくい」という結論にもなり、どうしてもする必要がある状況にでもならない限り、無理はしないだろう。
あとは単純に、地理的な距離、物理的な距離が遠いということもあるだろう。
Timの父親は、責任感があって、管理職などに向いている性格だが、それがかえって、Aviciiの”野生さ“を殺してしまう側面もあることは、否めない。Timは謙虚で静かで穏やかな性格であるが、芯の部分には、非常に”野蛮な性質“も持っているロックな人間だ。
Timの父親は、息子に対して、かなり協力的な親であることは間違いない。しかし心配性で、息子よりも、息子のお金のことを心配していた節は否めない。
それは「Tim Bergling Foundation」という財団を立ち上げ、経営していく中でも継続しており、今後Timのレガシーより、財団の継続に魂を売ってしまうことがあるかもしれない。
そこはTimではなく、Timの父親にとっての、『人生の試練』なのかもしれない。
最後に

Avicii(アヴィーチ)というアーティストはかなり「多面的」というか、エネルギーや、世界観の規模が莫大だ。
また New IDの数も非常に多い。
なので New IDを中心に、年代やアーティストごとに分け、紹介することにした。
大体、1組のアーティストと、6,7曲作るTimであるが、もちろんアーティストによっては、4,5曲だったり、2,3曲だったりする。
NERVO(ナーヴォ)と接触していた時期は、2011年夏のTomorrowlandの頃がピークで、その後は一切なくなる。別に仲違いしたとかではなく、お互い忙しかっただけであろう。
New IDとカウントできるのは、
- Let Me Show You Love
- Nothing Without You
の「2曲」。各バージョンも含めると「4曲」。
1曲は、既にNERVOのシングルとしてリリース済みなので、全部含めて「5曲」だ。
一つの記事として紹介する曲数では少ないかもしれないが、記事ごとに出来るだけAviciiのエネルギーを純粋なものとしてパッケージしたい。そういう思いから他の動画を追加することなくこの「5曲」に絞って、紹介することに決めた。
曲数は多くはないが、どれも”絶品“なので、ぜひじっくりと、一曲一曲、聞いてみてほしい。
厳選掛け流し
この記事の Aviciiの「エネルギー」をまとめて取り入れたい方は、この”源泉掛け流し“動画も用意しているので、ぜひ。
全「5曲」の再生リストとなっている。
掛け流し(MIX)
“Coldplay – Every Teardrop Is A Waterfall (Avicii ‘Tour’ Mix)“など、NERVOの関わっていないシングル、もしくは、Avicii の関わっていないシングルも、含んでいる。全「7曲」。
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