アルバム『TIM』が、Timの死後に、リリースされて以来、Timの関わったシングルは、形を変えいくつかリリースされた。
ただ、Avicii(アヴィーチ)のロス自宅Studio Session(スタジオセッション)から産まれ出た楽曲で未だリリースされていないものも多い。
2021年頃、自身の音楽ブログを閉鎖し、ここ2、3年は全く Avicii 動向を追ってなかったが、ドキュメンタリー映画『I’m Tim(アイム・ティム)』の公開をきっかけに少しリサーチしていると、その空白期間に、当時はまだリークしていなかった情報量が、だいぶ豊かになっていた。
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しかし、その音源も、実際のオリジナルのデモから素人のリメイク、再生数を稼ぐための偽物に至るまで、尺の長さも全然違うものが、YouTube上に点在、混在している状況だ。
そろそろ、毎回そこからお気に入りの音源だけ探すのも面倒になってきたので、自分の為に、「Aviciiの未発売曲(New ID)」を厳選し、カテゴリー別に分け一箇所にまとめることにした。
僕と同じように、時々Aviciiのエナジー(未発売曲)が懐かしくなるような方は、これらの記事を、ぜひ活用してもらえたらいいなと思う。
さて、その「カテゴリー」分けについてだが、
Aviciiは年代によって音楽のテイストが違う。
「2008-2011」は、「インストロメンタル」を中心とした電子系。先人のSwedish House Mafia, Eric Prydzを模倣として、リミックスを通し、自力をとことん極める時期であった。
「2012-2014」は、音楽家とコラボし始める時期。この時期に、Vergas & Lagora(Salem Ar Fakir, Vincent), Mike Posner, Aloe Blacc, Nile Rodgers, Mike Einziger, Wyclef Jean, Coldplay(Chris martin), Sandro Cavazza, Carl Fark, Rami Yacoubなど様々な音楽プロデューサーやシンガーソングライターとコラボするようになり、独自の音楽を、築き上げる。
「2018」年のセッションにて作成された曲の多くは2019年のTim死後のアルバム『TIM』に収録されている。しかし、当時このアルバムがリリースされる際、AviciiのYouTube公式チャンネルの動画の方で『16曲』と記載されるも、実際は『12曲』でのリリース。
最初は収録予定だった『4〜6曲』は、お蔵入りとなった。その『4〜6曲』が、どの曲かは定かではないが、2018年にTimのインスタ・ストーリーにて投稿された動画の内、まだリリースされていない楽曲もあるので、今回は、既にリリース済みの曲ではなく、まだリリースされていない楽曲(New ID)を全部で、『8曲』選んだ。
2018年4月20日に、Timはオマーンで亡くなるので、2018年のセッションで公開された分は、3月19日頃の分のみである。
1. セッションの様子
上の動画は、スタジオセッション 2018の触りとして載せている。ロングバージョンは、「Avicii: Complete Compilation Of The March 2018 Sessions」で、6分前後に。
このセッションで制作された楽曲の多くは、Tim死後に公式にリリースされた3rdアルバム『TIM』に収録されている。
- Tough Love
- Bad Reputation
- Ain’t A Thing
- Fades Away
- Hold The Line
- Never Leave Me
- Freak
2. Too Much Fun (ft. Pelle)
常に新しいタイプの音楽を模索していたAvicii。
この楽曲は、アルバム『TIM』のテーマからは歌詞も曲調も合わないことから、外されたと思われる。それか、EP Avici ⑵or⑶の方で、収録するつもりだったのかもしれない。EP Avicii は、⑴のみのリリース(2017年)となったが、元々は⑴〜⑶の三部作で、考えていたようだ。
この楽曲の曲風をなんと表現したらいいのか、僕には的確な表現というのが見当たらないが、ファンキーな感じというか、いいエネルギー。
自分がこの楽曲を一言で表すなら、「宇宙への船出」かな。
3-1. Row (2018 Studio Version)(Triangle Remake)
この記事の一番最初の動画で、「セッションの様子」があるが、そこで数曲、新曲のティーザーが流れていて、”Tough Love“と”Hold The Line“の間奏部分で流れてるのが、この”Row“と呼ばれているID。
その後、2018年3月のAviciiロス自宅セッションに参加していたBonn(ボン)というシンガーソングライターが、その時のIDを自身のSNSにて公開した。
3-2. Avicii – Someone New ft. Bonn (March & April versions)
それがこの”Someone New“というタイトルで、”Row“のボーカルバージョンと言える。
この動画は、2つの音源(バージョン)が、前半と後半でそれぞれ流れる。
未完の名曲。
4-1. Run Run (ft. Vargas & Lagola)
完全に、アヴィーチ・バイブスの1曲である。
歌詞の内容は、「夜明けまで、とにかく、走り続けろ。君なら出来る。」簡潔に言うとこんな感じだが、この曲には歌詞が2パターンある。
なんだか「Avicii – The Days」のように、バージョンが複数あるのだ。
関連記事 : The Days の多様性。
4-2. Run Run (ft. Simon Aldred)
結構、他のアーティストの複数バージョンってどっちかが良くて、片方は微妙なことが多い。
だがAviciiの手掛ける複数バージョンは、どれも魅力的で、選び難い。確かにラジオ向けに選ぶなら、こっちの方がいい。というのはあるが、普段聴く分には、気にしないであろう。
出だしの入りの部分も違う。
5. Don’t Lie/No Lies (ft. Bonn)
アルバム『TIM』で、”Freak“としてリリースされた楽曲のデモであるが、この曲のメロディーの部分だけ、是非とも別の楽曲として、リリースして欲しいと思うほど、イケてる。
6. I Wanna (ft. Rami Yacoub)
この「ID(I Wanna)」の出だしの”リズム“が、凄く好き。
キックの”力加減“も魅力的だ。サウンド的にはTimの晩年のサウンド(2018年3月、Aviciiのロスアンゼルスの自宅で行われたスタジオセッション時に取り組んでいた———その他の楽曲)の特徴と相通ずるものを感じる。
ドキュメンタリー映画『I’m Tim』でも語られているが、
Timは、EP Avici ⑴〜⑶「三部作」にて、仏教要素を中心のテーマに据え置いた作品を目指していた可能性も高い。アーティスト名の Avicii は、仏教で説かれている最下層の地獄———『無間地獄(むげんじごく)』が由来であり、Timの構想の中では、地獄の最下層から、仏教の到達点で言う所の『涅槃(ニルヴァーナ)』への道。
そこを、音楽を通じて描く。
もちろん音楽を第一としているので、そこの「ストーリー」は、セッションから生まれ出てくる楽曲次第だったとは思うが、彼の構想の中では一つの形として理想としていたのだろう。
Timは作曲以外に関して、後天的な学習、歴史や宗教学の書物からの”インプット”、体験的な学習時間が非常に短いが、それを先天的な魂の経験、脅威のダウンロード力でそれらを補っていたように感じる。
多くの日本人からしたら、『聖書』と共に歳を重ねないので、クリスマスを祝っても、イエスの格言一つ言えやしない。しかし、イエスが地上に人間として生まれる前の「キリスト意識」との繋がりがあれば、「その意識」から直接、必要な情報を降ろすことも出来るのだ。
まあ要するにTimは、青春時代に野球の経験がなくとも、野球をテーマにした漫画をリアルに描ける稀有な人間だということだ。

Rami(ラミ)は、シンガーではなく音楽プロデューサーで、Carl Fork(カールフォーク)と共に、One Directionの全盛期の音楽を、数多くプロデュースしてきた実力者。
Avicii の自宅でのセッションで、ちょくちょくアヴィーチのインスタにて登場しているのだが、彼がまともに語っている所は、数少ない。
Timと同じでスポットライトを浴びたくない性格で、裏方向きで、非常に感覚派なため、インタビューなどで言語化して伝えるのは、あまり得意でも好きでもないのかもしれない。

Ramiの見かけは、あまり音楽家っぽくないが、
1Dの他に、Backstreet Boysの「Shape Of My Heart」、「Drowning」, ブリトニースピアーズの「Oops!…I Did It Again」、「…Baby One More Time」、「I’m Not A Girl, Not Yet A Woman」、アリアナ・グランデの「One Last Time」など、1995年頃から現代に至るまで暗躍している。
Backstreet Boys – Shape Of My Heart
Ramiの手がけた楽曲を色々聴いていると、お洒落でロマンチストなエネルギーを感じてくる。
Britney Spears – …Baby One More Time
Ramiは、1995年頃から2001年まで、POP界のヒットメーカーとして知られる Max Martin と同じプロダクション・カンパニーに所属しており、その頃主に、セリーヌ・ディオン、Backstreet Boys、ブリトニースピアーズ、NSYNCとのセッションを、年中ループする生活だったと。
Timとは、2rd アルバム「Stories」の制作時期以来、ずっと交流が続いていたようだ。

Timは、RamiやCarl Farkと共作することで、商業的なバランスの取れた楽曲にできた所があるのではないかと思ったりもした。Timは非常に”芸術家気質“であり、Timが一人で凝って作ると、完璧をとことん追い求めるゆえ、どんどん商業的な楽曲からは飛んでいく。
RamiやCarl Farkは、経験豊富な音楽プロデュサーで、同時にヒットメーカーなので、どのくらいの音楽が一般的に聞きやすいのか、そのコツを感覚的によく分かっている人達だ。しかしTimほどの完璧主義者ではない。
7. Losing Myself (Ain’t No Fire) ft. Rami Yacoub
2018年のスタジオセッション動画の中で、個人的に最も気になった楽曲の一つ。
また新しいタイプの音楽をぶちこんできたなという印象。
8. Dun Diddy (ft. Vargas & Lagola)
変わってる。
Vargas & Lagola バイブス。
3rdアルバム『TIM』に収録された”Excuse Me Mr Sir“が好きな人でも、この曲は、きつく感じるかもしれない。
9. ピアノ・メロディ
Timは、曲作りで、最も重要視していたのが、「メロディー」だと語っている。
10. Island (ft. The High)
このIDのセッションの様子は確認できない。
ただAviciiとTimと、縁のある楽曲だなぁとは、IDのタイトルや曲調からは個人的に感じる。
最後に
Avicii (厳選掛け流し)
上で紹介した動画の内、Aviciiの純粋なシングルに限る。また、セッション中(一番最初)の動画は省いている。
掛け流し (MIX)
なおこちらの方は、この記事で個別に紹介した Aviciiの未発売曲の他、Ramiの手掛けた過去のシングルも、いくつか含んだミックスとなっている。
こういう曲は、普段あまり聞かないと思うが、Aviciiの未発売曲を聴きたくなった時は、この記事を活用してもらえたら、嬉しいなと思う。
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