2020年1月31日。
僕は、南インドのケーララ州で、アーユルヴェーダのトリートメント (7日間) を受けていた。
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そして、その治療期間中、
ご縁に導かれ、「あるマントラ (賛歌) の舞台」となった家を訪れることになる。
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*その時の予想外のストーリーは、上の記事に詳しく書いている。*
そこで僕は、生まれて初めて、
インド最大の哲学者とも言われている8世紀の聖者「シャンカラ」の存在を知り、
「このマントラ (賛歌) が、生まれたストーリー」についても、教えてもらった。
そのマントラは、
「カナカダーラー・ストートラ」と呼ばれている『ラクシュミー女神への賛歌』なのだが、
*インドには、たくさんの神様がいて、ラクシュミーは、「富の女神」と言われている。*
今回は、「そのマントラが生まれたストーリー」を共有したいなと思う。
シャンカラの逸話 (実話)
シャンカラ・ラクシュミー ・貧しい女性のストーリー。
昔々、
「シャンカラ」というある僧侶 (Monk) がいた。
ある時、鉢を持った少年「シャンカラ」は、たまたま、この家を通りかかる。
そして「ご飯を恵んで頂けませんか?」と、この家の女性に尋ねるのである。
*僧侶は、毎日の食事を、一軒一軒の家を回りながら托鉢 (たくはつ) して、得る生活をしていた。*
しかし、彼女は非常に貧しくて、与えてあげられる食事が何もなかった。
でも、何かこの僧侶に与えて上げられるものはないかと、必死に考えた女性は、ふと、台所に、アムラの実が1つあることを思い出す。
こんなつまらないものでもいいのだろうかと、ためらいを感じるも、敬意を込めて、アムラの実を一つ与えたのであった。
それは、女性が持つ唯一の食べ物だった。
*アムラとは、南インドのアーユルヴェーダ料理にも使われる果実のこと。*
「シャンカラ」は、彼女のその行為に対して、非常に感銘を受けた。
そして、
「ラクシュミー (富の神様)」に尋ねるのであった。
「どうして、彼女は非常に貧しいのですか?」
すると、ラクシュミーは、答えた。
「それは、彼女が、前世で良くない行いをしたからである。」
でも、「シャンカラ」は、この女性に恩返しをしたいと思った。
そこで、目を閉じて、富の女神である「ラクシュミー」に、祈りを捧げるのであった。
「どうか彼女に、豊かさを与えてください。」
「シャンカラ」は、ラクシュミーを讃える歌 (マントラ) を作り、唱えた。
すると、奇跡が起きる。
彼女の家の庭にあるアムラの木に、黄金の実が、降り注いだのだ。
そして、その貧しい女性は、豊かになった。
*教訓を短く伝えるために、喩え (黄金の実とか、神様を擬人化したり) が使われてるが、このストーリー自体は、実話だと思う。*
このストーリーの本質とは?
*上の赤い図において、
左下に描かれ、何かを受け取ろうとしているのが、「シャンカラ」。右側から与えようとしているのが、「この家の貧しい女性」。そして、1番上に、描かれてるのが、「富の神様 : ラクシュミー」。*
豊かになるための秘訣とは。
シャンカラ、ラクシュミー、ある貧しい女性。
この3人の物語から、僕たちが学べる教訓は、
「今の自分に出来ることで、見返りを求めることなく、自分から分け与えること。」
すると、「その心の豊かさが、さらなる豊かさをその人へもたらす。」ということ。
僕は、これが、このストーリーの本質なのではないかと思う。
因みに、この貧しい女性は、自分が持つ唯一の食べ物を少年に与えたが、
決して、自分を犠牲にしたわけではない。
言い伝えられてきたこのストーリーでは、明記されていないが、
おそらく、この貧しい女性は、
少年 (シャンカラ) が、托鉢に来た際、お腹を空かせていなかったと思う。
彼女が、少年にアムラの実を与える時の心の姿勢から、僕はそう感じた。
アムラの実を与えたという行為そのものではなくて、彼女が分け与えるときの「心の姿勢」が、シャンカラを感動させ、ラクシュミー (富の神様) へと伝わったのだ。
彼女のあの時の姿勢に、「これを与えたら、あれが返ってくる。」というような計算は一切ない。
ただただ、この少年のために、愛の気持ちを持って、自分が与えられるものを分け与えたのである。
ラクシュミー女神への賛歌
カナカダーラー・ストートラ
そして、シャンカラの逸話の中で、
少年シャンカラが、貧しい女性が自分にしてくれたことに感動し、ラクシュミーに唱えたのが、この「カナカダーラー・ストートラ」というマントラ (賛歌) である。
インドでは、この賛歌を唱えると、富が降り注ぐと信じられているのは、そのためだ。
だが、1番大事なのは、賛歌を唱えるという行為じゃない。
このストーリー (逸話) に、豊かになるための本質があるのだと思う。
「今の自分に出来ることで、見返りを求めることなく、自分から分け与えること。」
そしたら、きっと、
その心の豊かさが、さらなる豊かさをもたらしてくれるだろう。
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