ただ今勝手に開催中の[夜宮] アルバム AVICII FOREVER 3 Week(4/25〜5/16)。
今回は、2013年にAviciiがリリースした1stアルバム「True」。そこに収録予定も、漏れた曲を中心に、2ndアルバム「Stories」同様、『三部作』でお届けしたいなと思っている。
第二弾 ⑵は、
“Avicii – Wake Me Up”のボーカルも務めた———「Aloe Blacc(アロー・ブラック)」を切り口に、顕現させていきたいなと思う。
これより故アヴィーチの解剖を開始する
切り口 : Aloe Blacc(アロー・ブラック)
アメリカのシンガーソングライター。
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1. Black and Blue (ft. Aloe Blacc, Mac Davis) [New ID]
2013年のUMF(Ultra Music Festival) Miamiにて、初披露された“Black And Blue”。
個人的には、かなり高く評価している一曲。
ただ、後半のメロディーは、
記事の後半で紹介している「Avicii – I’ll Be Gone」でも使われており、「Liar Liar(Avicii by Avicii)」として、既に公式にリリースしてしまっているため、実質“Black And Blue”は完成した作品とは言えない。
真上の動画は、Aviciiがアルバム「True」のプレビュー会として、生演奏をした映像なわけで、つまり、アルバムに収録予定だった楽曲ということである。
音楽プロデューサーの本質的な仕事は、
シンガーソングライターの個性や才能を最大限に引き出し、躍動させること。その点、Timは最高峰の音楽プロデューサーだ。
そしてこの“Black And Blue”は、
Aloe Blacc(アロー・ブラック)のみならず、Mac Davis(マック・デービス)の良さを存分に引き出し、その上で、この2人の個性的シンガーの、「調和」まで指揮して見え、怪物だなと思う。
2. Forgive Me (ft. Aloe Blacc) [New ID]
Timの死後、2020年にリークした音源。
しかし真下の動画で、アロー・ブラックが話しているように、“Black And Blue”をレコーディングしたセッション。その次に行ったセッションで、この“Please Forgive Me”という、ダブステップ調のトラック(曲)が生まれたらしい。
なので2013年、少なくとも2014年の時点で、上の音源が出来上がっていた可能性が高い。
Please Forgive Me [制作秘話]
そのセッションでTimは、FL Studioという作曲ソフトで曲を制作していって、アローブラックは、その音源の感性、エネルギー、感覚、その感情を感じ取りながら、歌詞を書き始めた。
実際に歌詞を紙に書いたのかは覚えてないが、リフ。楽曲の中で繰り返し使われるフレーズ、その音楽がとても暗い感じだったので、このアイディアが出てきたと。
「There was never, ever reason for my actions please forgive me」
「悪気はなかったんだ。許しておくれ。」
この一句を歌ってみた時、Timは「凄くいい。もう一度繰り返して!」と好反応で、アローは、数回繰り返すと、この一句の最後のラインの“please forgive me”。
Timはそれを採用した。
自分にとっては、僕たちが生み出した楽曲の中でも、最高の主要なメロディーの一つだよ。
で、Timが手掛けた“Please Forgive Me”は凄く重たい感じだったけど、ダブステップに少しだけ近くて、今まで自分たちが作ってきた音楽の中では、少し暗い感じの音楽だった。
だから、アルバム「True」には収録する上で、収まるポジションがなかった。
僕達は音楽家だ。アーティストだ。
コンスタントに音楽を作り続ける。実際にリリースする際には意味を持たせる。曲の断片はそのまま放棄するアーティストもいるけど、自分もTimも、パソコン上に、これまでの全てのアイディア、小片、断片を保管するタイプだ。
LAまでドライブしている時に、この曲のリズムに乗りながら、「早くリリースしたくてたまらないよ」って思ったよ。
めっちゃイケてるんだ。
真上の動画中では、制作時期を明確に話していないが、2ndアルバム「Stories」ではなく、1stアルバム「True」の制作時期のセッションだと思われる。
3. I Wanna Be Free (ft. Aloe Blacc) [New ID]
Aloe Blacc(アロー・ブラック)とAviciiの相性は抜群にいい。
ギターの部分は、Nile Rodgers(ナイル・ロジャース)が担当していると。
楽曲”I Wanna Be Free“は、[Verse]の部分が一つしか出来上がっておらず、上の音源も、同じ[Verse]が二度繰り返される。[Verse2]の歌詞を完成させようと、アローブラックは努力していたが、Timが亡くなり、結局Timの在命中に完成させることは出来なかった。
Aviciiについて語る。
Neil Jacobson(ニール・ジェイコブソン)。
Geffen Records(レコード会社)の前社長だ。
Timの死後に一般人は彼(ニール・ジェイコブソン)を知ることができたわけだが、
“Wake Me Up“を生み出したMike Einziger、Aloe BlaccをTimに繋げたのも、彼。
Imagine Dragons(イマジン・ドラゴンズ)とTimのセッションを実現させたのも彼。
“Black And Blue”のMac Davis(マック・デービス)をTimに繋げたのも、彼。
Aloe Blaccをそのセッションに招待したのも、彼。
その頃は、まだアルバム「True」にカントリーやブルーグラスを取り入れる予定はなかったようで、Aviciiが結果的にそういう路線に進んだのは、ニール・ジェイコブソンのコネクションにより生まれたようだ。
ニール・ジェイコブソンが、Mike Einziger(マイク・アイシンガー)とゴルフをしている時に他のセッションのキャンセルが入り、Timとセッションするのはどうかと。それによって”Wake Me Up”も生まれたので、多大な貢献である。
ニール・ジェイコブソンは、Aviciiの歴代シングルの中で、”I Wanna Be Free“が一番お気に入りのシングルだそうで、Timに完成を促していたが、Tim自身はその気がなかったらしい。Timの意識が次へ次へと向かっていたからだ。
ただ、真上の対談動画を聴く限り、アローブラックも、ニール・ジェイコブソンも”I Wanna Be Free“の完成とリリースに、かなり乗り気なようだ。
Timが亡くなる前の段階で、Aviciiがリリースできそうなシングルは、30〜40曲はあったようだ。ただどの曲も完成間近ではあっても、リリースできる完璧さに到達していた楽曲という、意味ではないが。
Avicii × Aloe Blacc
これまで、Avicii(アヴィーチ)とAloe Blacc(アロー・ブラック)のコラボ曲で、公式にリリースされたシングルは、以下の3曲と、
“Speed (Burn & Lotus Team F1 Team Mix)“の4曲のみ。
1. Wake Me Up
言わずと知れた歴史的な一曲。
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2. SOS
Albin Nedler(アルヴィン・ネドラー)とBonn(ボン)、そしてTimの3人が手掛けたデモがあり、Timの死後、ボーカルの依頼が、Aloe Blacc(アロー・ブラック)に入り、完成した。
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3. Liar Liar
1stアルバム「True」の収録曲は、ボーカルを表示してないので、どのシンガーが歌っているのか分かりにくい。
Liar Liarをアローブラックが歌っていることを知っている人は、意外と少ないかもしれない。
4. Liar Liar (Avicii By Avicii)
そしてこの”Liar Liar (Avicii By Avicii)”。
次に「おまけ」のコーナーで紹介している”I’ll Be Gone (ft. Joakim Berg)”の象徴的なメロディが採用されている。要するにAviciiは、後者を没にしたわけだが、非常に惜しい曲である。
おまけ
Avicii – I’ll Be Gone (ft. Joakim Berg)
もしこの”I’ll Be Gone“が公式にリリースされていたら、その”I“はTimと同一視されていたかもしれない。
“僕は去ってしまうだろう(地球から)”。
1. Rihanna – Diamonds (Avicii Remix)
Avicii本人は、リアーナとか、ビッグネームによるコラボに興味はないと語っていた。
だが、リアーナの”Diamond“という楽曲は気に入ってた時期があるようだ。2013,2014のライブセットで時々流していた。
オリジナル曲を聞いて、手を加えたくなったのかもしれない。
Coldplay – Atlas (Avicii Remix)
Coldplay(コールドプレイ)のChris Martin(クリスマーティン)と Aviciiは、”A Sky Full Of Stars“を始め、複数曲コラボしている。
中でも、この”Atlas(Avicii remix)”は、非常に興味深い一曲だ。
関連記事 : A Sky Full Of Stars (Ver.7)
また[間奏部分]のメロディーは、UMF 2016にて、Aviciiが披露した”Our Love“という”ID“と同様である。
関連記事 : Avicii 2016(The crowning of prince Liam)
最後に

“Black And Blue“、
“Please forgive Me“、
“I Wanna Be Free“、
どの曲も、全然雰囲気の異なる楽曲だ。
お互いの引き出しの多さ、人間という生き物は多面的であること、本来は、単細胞生物ではないことを感じさせられた。
Aviciiが伝説なのは、これだけ素晴らしい曲を世に出しておいて、まだまだ余力があるというか数え切れないほどの聞き出しが奥にあって、その深淵さに人々は熱狂するのかもしれない。
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Avicii with Aloe Blacc(厳選掛け流し)
Avicii (with Mike Posner)の”New ID“を、まとめて聞きたい方は、真上の動画をどうぞ。
全3曲のプレイリストになっている。
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